冷酷な王さまは愛し方を知らない


「自分の好きな人が他の男の人と仲良くしてるって、いくら気持ちはないってわかっていてもそう切り離せるもんじゃありませんよね」

「そうですね。そういう事もあり、婚姻の儀を急がれたのでしょう。私としては、もう少しリズさまにマナーを叩きこみたかったのですがね」



セシリアが同意するようにそう話し、キースさんもそれにまた答える。
私は、コハクくんにアルさまの強い味方になってもらえたらって思っての事だったけど…。
そういうものなのだろうか。



「リズさまだって、アルヴィンさまが他の女性といい感じなのを見たら、いい気分しないんじゃないですか?」

「え……」



セシリアにいたずらにそう言われ、私の脳裏によぎったのは、とてもお似合いの二人に見えたアルさまとシイナさま。
王妃候補選びの時、シイナさまの王女としてのオーラに何度も圧倒された。
アルさまに相応しいのは、ああいう方なのだと今でもふと思う。



「それと同じですよ」



同じ……。
でも、私がアルさまにそのような感情を抱くこと自体、間違っているんじゃないか。
アルさまが私を想ってくださっていることが奇跡で、夢みたいなことで。
それ以上求めては、欲張りすぎというもの。
私がアルさまにヤキモチなんて…。



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