冷酷な王さまは愛し方を知らない


「あのコハクも、同じでしょう」

「え?」

「コハクも、誰かの命令で簡単に人を殺せる。それが数分前に味方だったとしても」


クリスさんの言葉に目を見開く。
コハクくんも、契約を交わした相手の命令ならどんなことでもこなしていた。
そういうことを、平気でしていた。
感情を動かさず、なんの思いも抱かずに。


「ですから、あの者も今は十分に用心した方がいいかと」

「コハクくんは、大丈夫です!」

「リズさま…」


思わず声を張っていた。
大丈夫。なんて、絶対なんてことはないとわかってる。
セシリアの事が、いい例だ。

でも。
だからって他の人まで疑いすぎるのは。
コハクくんは、私を護ると言ってくれた。
今だってきっと、私たちのために動いてくれているんだ。


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