冷酷な王さまは愛し方を知らない
私は王さまを見ながら食べることに必死で気の利いた話をすることもできなかった。
でも、他の人もほとんど話すこともなく静かに食事の時間が終わった。
よかったんだろうか。
食事を共にするというから、もう少し賑やかにお喋りを交わしながらするのかと思っていた。
少し、息苦しさを感じる。
食事を終えると、王さまはすぐに席を立ちキースさんを連れて出て行ってしまった。
私たちもそれぞれ自室に戻るようにと指示が出された。
明日、これからの事の話があるため今日はもう自室で自由に過ごしていいらしい。
「庶民は、無知を武器にして王様に取り入るのね」
「え…」
貴族の娘のルナさんがそう言って立ち上がった。
取り入るなんて…。
「ちょっと、庶民ってひとくくりにしないでちょうだい!私は違うわ!無知を恥とも思わないような、こんな人と一緒にしないで」
ミリアさんが怒鳴る。
そんな言い方。
でも、この方たちは王妃の座を狙っている人たちなんだろう。
そんな人からしたら、私だって蹴落としたいライバルなのだ。