冷酷な王さまは愛し方を知らない


「コハクくん、自分を責めないで。コハクくんのせいじゃない」

「でも」

「セシリアを見つけてくれたんでしょう?本当に、ありがとう」


本当は、どこか信じていなかった。
正確には、信じたくなかった。だ。
セシリアが裏切者だったなんて。
でも、こうして現実のものとして現れると、とても落胆してしまう。
けど、きっとどれ程大変だったかわからない、隠れた人ひとり探すという事を成し遂げてくれたコハクくんには感謝しかない。


「それしか、俺にできる事、ない」

「そんなことないよ。そんな風に、思わないで。コハクくんは私にとっても、アルさまにとってもとても大切な人なの。大切な仲間だから」


自分の事を蔑ろにしがちなコハクくん。
それはこれまでの生い立ちとか生き方がそうさせてしまうんだろう。
当初ほど傷だらけになって帰ってくることはなくなったが、それでも、任務から戻ってくるコハクくんには毎度ドキドキしていた。

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