冷酷な王さまは愛し方を知らない


キースさんに、少し公務が立て込んでいるので時間が取れるのは明日になりそうだと教えてもらった。
明日の午前中。

なので私の時間が回ってくるのはおそらく正午になるだろうと。


それを聞いて、なにをするかを思いついた私はセシリアに相談しいろいろと準備を手伝ってもらった。



今までは、ただ時間が過ぎるのを待つことしか考えていなかった私がどうしてこんな風に思い至ったのか。
正直自分でもわからない。

でも、一つだけ言えるのは。
初めていつもと違う事をして。

アルさまと顔を合わせ話をしたことが、少しだけ楽しいと思った。
思わず、泣いてはしまったけれど。


アルさまの言葉、声で思いを通じ合わせる。
その作業が、思いの外楽しかったのだ。




「それでしたら我々が用意いたします。仮にも王妃さまになるかもしれないお方にそのようなことを…」

「どうか、この一度だけでもいいんです。お願いします」



従者の人に困惑されながら、必死に頼み込む。
やっぱり王妃として見られている私に、やたらな事をされては困るらしい。
それでも何とか頼み込み、どうにか許しをもらった。


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