冷酷な王さまは愛し方を知らない


「俺の周りには、金で買えるものしかなかった。人の心さえも、金で買える」



その声に覇気はなく、とても切なく響いた。
それはどれほど悲しいことだろう。
どれ程孤独で、彼を追い詰めたんだろう。



「だから俺は、金で買う方法しか知らない」

「私はお金などいりません。ですが、今こうしてアルさまとお話しています。それは、アルさまが本心を曝け出し私に真摯に向き合ってくださっていると感じたからです。アルさまは知っています。お金で買う以外の方法を」

「俺が…?」

「アルさまの側におられる側付きの方も、きっとそうです。アルさま自身を大切に思われている方はきっといらっしゃいます」



キースさんのように。
きっとクリスさんだって。




「それはきっと、アルさまが王さまとして懸命に生きてきた証です」



私になにがわかるのか。
現実のところはわからない。

アルさまがどれほど残酷な世界で生きているのか。



この時の私は、まるでわかっていなかったのだ。



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