想うだけの…
来賓の紹介や園長のスピーチ、在園児から入園児への歌のプレゼント。

恭平の耳には全く入ってこなかった。

“クラスは離れてしまったけど、同じ歳の娘が2人いる。共通点は十分ある。子供よりも智子と彼女が先に仲良くなる可能性が高いかもしれないな。そうだ、うちの前を通ったって事は近所に住んでいるんだろう。うちの向かいの公園に遊びに来たりするんじゃないか?
いや待てよ…公園では見かけたことがないな。近所ではないのか?近所で偶然会えればチャンスがあるんだが…”

恭平はハッとした。

“チャンス”って、一体なんのチャンスなんだ。

自分は一体何を考えているんだろう。今日はかわいい娘の入園式だというのに、あの女性の事ばかり考えているなんて。
あの女性と接点を持ったからといってどうなるっていうんだ。結局は“妻のママ友”か“娘の友達のママ”止まりだろう。

ちょっと可愛い女性に声を掛けられたぐらいでこんなにも浮かれている自分が恥ずかしくなった。

いや、声を掛けられたというのは少し違う。女性は自分の夫に促されて写真を撮っただけだ。

もしあのとき女性が赤ちゃんを抱っこしていれば、夫の方がシャッターを押していただろう。

自分は何を期待していたんだろう。

恭平は恥ずかしさよりも、馬鹿馬鹿しくさえ思えてきた。
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