うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
真っ直ぐ彼のことが見られなくなる私に対し、副社長はジッと私を見据えてきた。

「では日葵が教えてくれるか?」

「え?」

驚く私に彼は続ける。

「彼女として、俺に料理や掃除、洗濯を教えてくれないか?」

「彼女として……ですか?」

思わず聞き返すと副社長は大きく頷いた。

「あぁ。……彼女として身の回りのことをするのは問題ないんだろ? だったら俺に教えても、問題ないはずだ」

「それはそうですが……」

でもそれはつまり、頻繁に副社長が住む部屋に訪れるってことだよね?

想像しただけで恥ずかしくなる。でも私、嫌じゃない。

それに家事ができないことを理由に会ってくれない方が、もっと嫌だから。

「わかりました。……私でよければお願いします」

了承すると彼は顔を綻ばせた。

「よかった。……ありがとう」

「いっ、いいえ」

喜びを頬に浮かべる副社長を目の当たりにしていると、無性にまた「わー!!」と叫びたくなり、慌てて空になった食器を手に立ち上がった。
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