[完] 空に希望を乗せて [長編]

トラウマ解消

カタンコトンカタンコトンと電車に揺られつつ帰宅する。ついに部活にはいった!心浮き立ってるのが自分でもわかる。ただ、1つ心残りがある。沙苗、美海、瑠璃香のことだ。どうしようか。謝るべきとは分かっている。しかし、会う勇気はない。違う、会いにいく勇気がないんだ。怖い。やっぱり。でもやっぱりバドミントン部に入ったんなら、ちゃんと切り替えのためにも謝りたい。
「水町駅ー水町駅ー。」
降りる駅でアナウンスがはいる。電車を降りて改札を出て何度か角を曲がると家に着く。ただいまー、とドアを開け、家に入る。さっと携帯をとりあげて友達とのトークアプリを開く。よく考えれば携帯は持っていってるんだから電車の中ですればよかった。でも、電車の中でだと、ちゃんとメッセージが送れる気がしない。だから後悔しなくていんだ、と自分に言い聞かせて、沙苗、美海、瑠璃香の3人にメッセージを送る
「今度空いてる日、会えないかな」と。送信の文字をタップする手が汗ばむ。後悔しないためにも!そう思い、送信した。

宿題をしつつ、やっぱり携帯が気になる。集中出来ない。チラチラと携帯をうかがう。ふいにブーブー、とバイブ音が部屋に鳴り響く。小刻みに震える手を抑えて、そっと携帯をみる。瑠璃香だった。
「いいよ、会おう。明日は?」と来ていた。明日は、大丈夫なはずだ。「うん!大丈夫☺」そう送信してふぅ、と息を吐く。よかった。安心した。会えなかったら、私は、もう…再びバイブ音がひびく。「じゃあ水町駅の改札口で。放課後。沙苗と美海も連れてく。」ずきっと胸が痛む。瑠璃香はなんで会いたいか分かってる。「ありがとう、じゃあ、また明日。」送信して、既読がつくまで携帯画面を眺める。既読がつき、ほっと一安心した所で、また不安が襲ってくる。どうしよう、明日…謝んなきゃ、絶対…心をぎゅっとわしずかみにされたような気分。緊張する。
翌日の授業は全く集中できなかった。
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