スケルトンドーム
シンボル

第0班

深夜2時、鈍い風切り音を立てながら4機のヘリが高層ホテル上空に滞空する。
高くそびえ立つ57階建て“エンペラーホテル”の一室からは激しい戦闘の音が響き、ただ事ではない様子が伺える。
地上では一般市民の自動車の波を猛スピードで逆走する車が各所に点在。
このあまりに騒々しい事態に、野次馬も大量に集まり収拾がつかなくなっていた。

『51,55,80,99以外の全班に告ぐ、持ち場を片付け次第EEエリアにて彼らの応援に急げ、以上』

「さっきも聞いたわ!クソ…ナメた口聞きやがってアイツらだけが大変だと思うなよ、こっちもこっちで大変なんじゃふざけんなモニター野郎!」

ハンドルを左右に激しく回しながら、車両に設置されている通信機器に怒鳴る銅(あかがね)。

「先輩マジよそ見しないで前見て運転をォ!、うっ…ちょっヤバ…」

「おいおいこん中で吐いたら殺すぞ香奈」

いつでも吐けるように助手席の窓を開ける椎木香奈。
できるだけ外気を取り入れて吐き気を紛らわそうと、顔面に心地よい強風を受けながら、口をパクパクする。

「香奈ちゃん、髪が暴れてるわよ」

後部座席に座る九重凛子からそう言われるが、無言でコクンと首を縦に振りそれどころではないとアピールする。

「優ちゃんさぁ、もうちょいスピード落とせないの?」

「久々に俺らにも招集が来たんだぞ、ゆたゆたしてられねーよ。あと電話が鳴ってるから左ポケットからスマホだしてくれ」

「ほーい」
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