お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「まだ。ぜんぜんたりない……」
──────────


「着きましたよお嬢様」

「え、ここは……?」


首をかしげる私の手を取ると、リムジンから降りて歩き始める。


「では、手筈通りに」

「了解致しました。黒木様」


「えっ、十夜さん!?」


「では、またあとで」


カーテンがしゃっと閉められ、広い部屋へと押し込められる。


あの後散々遊園地で遊んで、リムジンに乗った後、謎のお店にやってきた。


見れば、一着何十万もするんじゃないかと思うほど高いパーティードレスが所狭しと並んでいて。


天井からはまぶしいほどのシャンデリア。

床は大理石。


なんだか私には縁遠いお店のような……



「さあさあ美都様。お着替えなさいましょうね」


「着替え?」


ニコニコ笑いながら駆け寄ってきたのは、スーツ姿の美人なお姉さん。


「担当させていただきます、宇川(ウカワ)と申します。よろしくお願い致します」


「あっ、村上 美都です。よ、よろしくお願いしま……」


「存じておりますよ。
黒木様の大切なお方なのですよね?」


「えっ!?」


ピシッと固まると、宇川さんはふふふっと上品に笑う。


「私は外におりますので、何かありましたらお声がけ下さい」


やわらかい生地のドレスを渡され、シャッとカーテンが閉められる。


着替えろってこと?

え。これに?


渡されたそれに絶句しつつも、とりあえず着ることに決めた。

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