お嬢様、今夜も溺愛いたします。
それからというもの。
「いらっしゃいませ」
なんとか昔のことを思い出し、頭をフル回転させてお店の中を駆け回る。
「美都っ!
これはどうすればいいの?」
「あっ、それはね!」
お客さんにオーダーされたお花のラッピングを一つずつ教える。
「おおっ、すごい!
さすが美都!」
「そんな、大げさだよ」
ちゃっちゃとお花を束ねてラッピングしただけなのに、すごいすごいと褒めてくれる紗姫。
「ありがとう、とっても綺麗なお花ね」
お客さんにもそうやってお礼を言われて、なんだかむず痒いような恥ずかしいような、懐かしいような気持ちになる。
「ありがとうございました!」
お客さんの背中が見えなくなるまで頭を下げて見送る。
色とりどりのお花に包まれ、お客さんの笑顔が見られるこの仕事。
ああ、やっぱりほんとに好きだなぁ……
「楽しそうで、なによりです」
「っ、あ、ありがとうございます!」
一応ここでは店長さんなんだからと、意識しないように顔の筋肉に力を入れる。
「なんだか私たちしか知らない、秘密の関係みたいで、萌えますね」
なんて口端を上げてクスッと笑うもんだから、案の定私は真っ赤になってしまった。