蘇らせ屋のボクとヒトゴロシのキミ
受け取った拓也さんは僕の名刺を穴が開くほど見つめている。


そうしている間に僕の後ろにいた柚木さんが背中をつついてきた。


あぁ、すっかり存在を忘れていた。


「小滝さん、こちらが僕の助手です」


柚木さんの事をそう説明すると、拓也さんはやっと名刺から顔をあげ、柚木さんへ視線を向けた。


柚木さんは僕の前にズイッと体を移動して「はじめまして。私、柚木ホームズです」と、自己紹介をして、僕と同じように名刺を取り出した。


いつの間に作ったのだろう。


時間だけはたっぷりある柚木さんは、僕の仕事に首を突っ込む気満々でいたようだ。


「はぁ、ホームズさんですか……」


「そうです。ちなみにこっちがワトソン君です」


だから、どうして僕がワトソンなんだ。


心の中で文句を言いながらも、こんなことで時間を使っている場合ではないと気が付く。
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