プロポーズは突然に。






──今日も忙しい一日が終わりを告げようとしている。



閉店後、他のスタッフは全員帰り、お店に残ったのは掃除をする私と売上げ計算やアンケートの集計作業をするオーナーだけ。


一人で広い店内を掃除していると、色々なことが頭の中を巡ってため息が漏れ、つい伏し目がちになる。


そんな私にオーナーはいち早く気付いたようで集計途中だというのにこちらへ駆け寄ってくる。


オーナーは、昔から私の変化にすぐ気付いてくれる優しい人。



「…どうした?元気ないよ」

「いえ…なんでもないです」

「そう…あのさ、」

「…はい」




俯いていた顔を上げた私に、オーナーは優しく微笑む。

太陽のようなその笑顔は、私には眩しすぎるんだ。




「お墓参り、行った?」

「いえ、最近は…」

「だったら行かないと。お父さんに結婚の報告しなきゃ」

「そう、ですね…」

「うん。幹本さん、きっと喜ぶよ」

「…」



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