プロポーズは突然に。






よく分からない展開に頭がついていかないまま商品説明会は終了し、Roadwayは国内の美容院で唯一ロッソ・ピウマの商品を取り扱えることとなった。


当然、帰路に就くオーナーの足取りは軽い。




「いやー、あんなにすんなり契約してもらえるなんて思わなかったな。思った通り拘り抜いた最高の商品だったし夢みたいだ」

「…」

「それに全然冷徹人間なんかじゃなかったよね。やっぱりただの噂かな」

「…」




……何か引っ掛かる。


あの人、完全に私に気付いていたはずなのに顔色一つ変えなかった。


それどころか目が合うと不敵な笑みを浮かべていて…


突然うちの店とだけ契約を結んだのも妙だ。




「桃ちゃん?」

「…はい?」

「どうした?こんな良い話が纏まったっていうのに」

「いえ…緊張しすぎて疲れただけです」

「はは、分かる分かる。副社長のオーラ凄かったね」

「あの人何者なんですかね…?」

「さぁ…でも、業務に関する全てのことを社長に一任されているみたいだしかなりの実力者なのは確かだろうね」



…何なのあの人。

何かを企んでいるのは確か。

でもそれが何なのか…分からない。




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