プロポーズは突然に。
長い螺旋階段を登り、書斎の前で足を止める。
この頃には不思議と緊張は取れ、落ち着いていた。
―――コンコンッ
「父さん、ただいま帰りました」
「うむ、入りなさい」
「失礼します」
彼の父親…どれだけ威厳のある人なんだろうか。
―――ガチャッ
彼が茶色い扉に手を掛けゆっくり開けると、黒のレザーチェアに腰を掛けた中年男性の姿が見える。
とても落ち着いた雰囲気の人のように感じた。
「彼女を連れてきました」
「…はじめまして。香坂 桃華です」
「おぉ、貴女が桃華さんか。会えて光栄だ」
顔は彼によく似ているけど、彼のように威圧感があるわけでもなく、優しげで品がある。
想像していたより物腰の柔らかい人みたいだ。
「まさか聡の選んだ女性が桃華さんとは…驚いた」
「…?」
「すっかり大人の女性になって…綺麗になった」
初対面のはずなのに、ずっと前から私を知っている風なその言い方に引っ掛かる。
…どういうこと?