クールな社長の耽溺ジェラシー


「警戒してます。小夏は……昔の俺みたいだ。けど、俺より純粋で心から照明を楽しんでいる。だから、放っておけない」

昔の自分と似ているから心配で、気にかけてくれて……それで、好きになってくれたんだ。あらためてわかった新野さんの深い想いに、嬉しさが込みあげてくる。

しかし、感動する私とは対照的に、新野さんは鋭い目つきで正司さんを見つめていた。

「たしかに、高塔さんは未熟な部分が多いけれど、センスがいい。真面目でやる気もあるからもっと伸びるだろうね。なんといっても、僕に心酔してるところがいいんだ。
このままモノにしちゃえば、いいゴーストライター……いや、ゴーストアーキテクトか。それになってもらえそうだなって目をつけてたんだよ」

正司さんの胸の内は聞きたくなかった。

私のことをそんな風に考え、いままで一緒に仕事をしてきたのかと思うと虫唾が走った。

「……だと思いました」

新野さんはあきれをふんだんに含んだため息をつくと、やるせないとばかりに頭をくしゃくしゃに掻いた。

「正直、勝負の結果はどうでもいいんです。でも、小夏の一番になりたいんです。そのうえで必要なんです、正司さんの作品が。小夏に正司さんの作品を見せてやりたいんです」
「そうやって、僕の悪いところを知らせずに……高塔さんに惚れてもらうつもり?」
「まぁ、そんなところです」
「高塔さんの憧れもちゃんと守って、僕の体裁も保ってくれるわけね。……ちょっと、いい男すぎるんじゃない?」
「勘違いしないでください。守りたいのは小夏だけです」

声の温度が、風に乗って伝わってきてるんじゃないだろうか。触られてもいないのに頬が熱くなり、力が抜けてその場にへたり込む。

「お願いします」

しゃがみ込んで建物の陰からふたりを覗き見ると、新野さんは深く頭を下げていた。その姿に鼓動が高鳴る。

このお願いは、私のためだ――。

呼吸がままならないほど苦しくなって、胸元をぎゅっと握り締めた。


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