生徒だけど寮母やります!3

「わぁ!やった!!ありがとう、爽馬。じゃあ一緒に行く?」

「うん。行こう」


2人が微笑み合う様子を唖然とした表情で見つめる相生


「え、小高ってこんなやつだっけ?」


そんな彼をよそに、しばらく己の中の何かとグヌヌ.....と葛藤していたライは


「....行く」

突如我慢ができなくなったかのように、腹をくくって一言発する


ライの思わぬ発言に静まり返る男子寮B



彼はその場にいた全員の視線を浴びながら

「俺も行く、LOS」

と再び力強く断言した



「「おーー」」


爽馬に対抗するためという理由はバレバレだが、LOSはあれほど行きたくなかった先輩女子の巣窟だ


景の為なら例え火の中水の中だろうと飛び込むという心意気に、その場にいた咲夜は「よく言った」と拍手を送った


(まるで一大決心でもしたかのようだが、LOSとはロサンゼルスのことではない

単なる学校の夏祭りであることを、ここで確認しておく)



咲夜はライの肩に手を置いて「相棒」と語りかける


「ライだけ行かせるわけにはいかないな。俺も行くよ、LOS!」

「くんな」

「えっ?ダメ?」

「邪魔すぎる。俺が先に腹括ったんだ、留守番してろ」



子どもの屁理屈のような訳の分からない理由で首を横に降るライ



「じゃあ僕が先に腹括ったんだから誰も来ないでよね」

爽馬はもっともな言い分を言ってからため息をつくと、顔を曇らせて「でも.....」と続けた


「結局みんなで行くことになっても、アイオ君だけは行けないよね。事実上、謹慎中なわけだし。それもどうなの」

「小高ってこんなやつだっけ?」


自分のためを思った発言をしてくれた爽馬に、先ほどと同じセリフを同じ表情で吐く相生


そんな彼に景はパッと顔を向けた


「ん?あ、いいス。別に行きたくないんで」

「そうだよね、一時的とはいえアイオ君もBの一員なわけだし。一人だけ行けないのはちょっと違うよね」

「聞いてます.....?」


そこで千冬が何かを思いついたように

「あ」

と声をあげた

< 35 / 115 >

この作品をシェア

pagetop