ダブル~私が選ぶのはどっち~
草野主任に腕を掴まれ、疲れて逃げる気にもならない私は引きつった笑いを見せた。

「今日じゃなければだめですか?」

草野主任はだまったまま、私の腕を引っ張っていく。

そして私が思っている方向と違う方向へ歩いて行く。

「いつもの場所は反対ですよ?」

草野主任と会うホテルは電車で3駅ほど離れている。

でもこの方向は駅に向かうのではなく、駐車場に向かっている。

「あれ?今日は車で出勤ですか?」

私は諦めてすごすごと草野主任について行く。

草野主任は何も返事をしないので、私も黙る事にした。

私は草野主任の自家用車の助手席に乗る。

草野主任はいつも電車で出勤しているので、こんな事は珍しい。

きっと外回りの時にでも自分のマンションに寄って、車で改めて会社まで来たんだろう。

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