相沢!ベッピン鉄拳GIRL
婦警さん?いらっしゃい。
宴もたけなわ。

酔っぱらってることもあって、
岩佐一人に全員振り回され、また、岩佐もフラフラ。

さて、この辺でおひらきの準備すっか。
携帯、すちゃっ。

「あ、○○3丁目交番ですか?何人か
ケンカしてるんすけど」

「……はい、場所は?正確な人数は?」

「駅前のコンビニ裏の空き地っす
ええっと、4対1の5人ですね」

「わかりました。すぐに現場に行きますので、
危険のないところに居て下さい」

「ああッツ!あの兄ちゃんケーサツに通報
してやがる‼味方じゃなかったのかよ!」
金髪ハチマキが気付いて俺を指差す。

別にー。どっちに味方してもないですうう。
「今日はぐっすり眠れると思うよ?
そろそろ帰った方がヨイのでは?」

「チクショー!もうちょいでこのガキ倒せるってのによ!」
悔しげなニッカボッカ。

イヤイヤ、
全然みんなダメダメなケンカと思うけど。

「次に会ったら河に沈めてやる‼」

有りがちな捨て台詞とともに、散り散りに逃げて行く酔っぱらいたち。はい、バイバイ!

「くそー、勝てたのに邪魔すんな!」
大の字に転がって吠える岩佐。
説得力ないぜ?

そこに京子さんが来た。
「なんだ、もう終わってんじゃない」

「あ、いらっしゃい婦警さん」

「電話したの、相沢にかよ。あーあ」
ホッとしたようにつぶやく岩佐。

「お前のボロっちい姿、京子さんに見せとこうと思って」

「……ほざけ」

京子さんはコンビニ袋を見せ、
「ケガしてるだろうと思って、絆創膏とか、
湿布とか……」

「それは俺がやります。かして‼」

「イヤだっっ‼相沢がいいっ!」
起き上がって、俺からコンビニ袋を取り上げようとする岩佐。

騒ぎでマサが目を覚ました。
殴られた顔が腫れている。
「うっ、うう……うええ……」
あ、泣いた。

「ぼぐぼだだがいだがっだどにいー!
じがだにだりだがっだどにいー!」
大泣きになって、何言ってるのか全然わかんない。

岩佐がマサの肩を叩きながら言う。
「何、泣いてんだよ。俺の親父だってなあ、
いつまでもあこぎなやり方してる訳じゃないんだよ。
今はちゃんとまっとうにやってんだ。
お前が泣くことじゃねえだろ」

そう言ってしばらくマサが泣くのを見ていた。

そして急に大きく息を吸い、
「けど、俺は親父が大キライだっ!
返せ!俺のオフクロ‼
女飼うな!
あの悪趣味なインテリア何とかしろー!」
叫んだ。

マサも顔をゴシゴシこすってから、
「ぼっ、僕も!お母さんなんかキライだっ!
あっ、愛人なんてやめればいいんだ。
僕のためとか、そ、そんなの違うんだ‼」

「「うおーーーー!」」

とっぷり暮れた、
駅前のコンビニ裏の空き地で吠える男二人。


これって、青春なのか?




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