休みの日〜その夢と、さよならの向こう側には〜
48.エピローグ(6)
 早朝の河川敷を、私は一人で歩いていた。

 赤いマフラーで口元を隠し、冬の寒さにジッと耐える。

 一人で凍える寂しい冬でも、私は乗り越えられる気がした。

 それは、先輩が前に進む力をくれたから。

 他人の幸せは、自分の幸せ。辛いこともたくさんあったけれど、先輩は私のことを好きになってくれたから。

 私は、私のことを誇ってもいいんだと、そう思えた。

 私は今、二本の足で走り出す。ただ前だけを向いて、走り出した。

「ああああああっあああああああーーーーー!!!」

 大声で叫ぶと、とても気持ちいい。いろいろなものが、吹っ切れたような気がした。

 そしてようやく、私の時間の動き出す音が、心の内からそっと響いた――
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