season
「…今、何て?」




秋山先生の問いかけに、ナツはもう一度、今度は目を見て告げた。




「初めは信じてた。いつか迎えに来てくれるって。だけど、待っても待っても連絡は来なかった。そうやって二年間あの言葉を信じて待ってるうちに、だんだん、二度と恋愛なんてしたくないって思った。…彼に会うまでは。」



ナツのその言葉に、俺を睨むように見る秋山先生。





…俺も聞きたいよ。




そんなに睨むほどナツを離したくなかったのなら…




何で今まで連絡の一つもしなかったんだって。





「私は今幸せです。胸を張って言えます。だからもう、帰ってください…。」




ナツが深く深く、頭を下げた。





胸を張って言える“幸せ”か。





俺、こんななのに。




教師と生徒って、決して許される恋じゃないのに。



デートも連れてってやれないのに。







それでもナツは胸を張って幸せだって言ってくれる。





ナツ。




ナツが幸せだって感じてくれることが…




俺の幸せなんだよ。


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