season
「…どうした?」




急に黙り込んだ私を不審に思ってか、顔を覗き込まれた。





「…何でもない。じゃ、おやすみ。」





季節のつく名前なんて、いくらでもある。





こんなのは、運命でも何でもない。




だから…気にするな、私。





妙な胸のざわつきを覚えながらも、私は気づかないフリをして、家へと帰った。








お風呂に入り、ベッドに横になり。








そして、ふと携帯を見ると、着信が残っていた。






さっきの人からだ。






仕方がないので掛け直すと…








『よかったー…マジで帰ってないのかと思った…』






どうやら、本気で心配してくれたみたい。





なんだか、それがとても申し訳なくて…







「……ごめん。」




思わず、謝ってしまった。





『いや、無事ならいいよ。電話ありがと、ナツ。』





ナツ…?




「…馴れ馴れしい呼び方。」




『ははは!いいじゃん、これも何かの縁だし。』




「そんなこと言って…用が済んだら、携帯番号消していいんでしょ?」




『うわ、ひでー』




なんだろ。




この人とだと、何でこんなに素直に話せるんだろ。




なんでありのままの自分でいられるんだろ。

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