season
赤い車が停車したのは、俺たちの家のわりと近所のマンションだった。




木の陰からマンションの様子を見ていたら…





夏海がドアからひょっこり顔を出したのが見えた。



しかも…めちゃくちゃ笑顔で。




「やっぱり…夏海……」



菜々子が呟いた。




何度同じ過ちを繰り返すつもりだよ、夏海。



あの男もあの男だ。



どうして平気な顔して、生徒に手出しできんだよ!




「…俺、夏海に全部聞くぞ。」



「大貴…」



「今ならまだ、引き返せるかもしれないから。」




…なんてカッコいいこと言ってるけど。



本当は、違う。



ただ、夏海を誰にも取られたくないだけなんだ。



昔から、夏海の一番近くにいた異性は、俺だったのに。




ずっとずっと…




夏海のことが好きだったのに。



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