人工知能な女の子
人工知能と僕
あの日以来僕は学校に行くのが早くなった。
走らないで登校することが楽だと知ったからという建前だが、本音を言えばセンカと話すことができるからだ。

彼女は学校に来るのが早い。
そのため自分も早く学校に行けば彼女と話すことができるのだ。

彼女の笑顔を見たのはあの日が最後だし、相変わらず会話中の反応は薄いが、ただ話せるだけで嬉しかった。


「私と話していて楽しいですか?


彼女が突然僕訊ねてきた。少し驚いたが素直に うん と答えると、
彼女は わかりません。と呟いた。


「あなたの考えだと聞き手に反応を求めるんですよね?私の反応は限りなくゼロに近いと思うのですが…」


「そう思ってたんだけど、センカの考えを少し聞いて変わったんだ。ただやっぱり少し話してて不安になるけどね。センカは僕と話していて楽しい?」


僕も同じことを彼女に訊ねた。

「以前言ったような気がしますが、会話を楽しいと思ったことはありません。」


その答えを聞いて胸が痛くなった。毎朝話していて浮かれていた部分があったのかもしれない。


ただ… 彼女は続ける。
「つまらないとも思っていません。ナルセさんは毎朝熱心に話しかけに来ますが不快に思ったりしていませんから。もし退屈に感じていたらきっと登校時間を変えていますよ。」


その言葉を聞いて今度は嬉しくなった。僕って単純なのかもしれない。


「じゃあこれからも話にきてもいいかな…?」
恐る恐る訊ねると

構いませんよ。と返してくれた。


平静を装って ありがとう と返したが心の中でガッツポーズをした。


「それとさ…!もし良かったら今日一緒に帰らない?」

気分が高揚していたので思い切って誘ってみた。


「それも構わないですが今日は放課後に先生に呼ばれているんです。」彼女は答える。


「昇降口で待ってるから終わったら来てよ、それでどうかな?」

「 いいんですか?申し訳ない気がします。」

変なところに人間らしさを感じる。


「僕が誘ったんだし気にしないでよ。一緒に帰れるのが嬉しいからさ。」

我ながらくさい台詞だと思う。


そうですか、でしたら。と彼女と一緒に帰る約束をした。思い切って誘ってよかった。



放課後への期待に胸を膨らませ今日一日がスタートした。
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