バイバイ☆ダーリン 恋心編  番外編完結しました
理人は今、実家に呼ばれてやって来たところだった。

ちょうど優花と会っていたので、いい機会だとばかりに軽い気持ちで、彼女を挨拶がてら料亭に連れて来たのだ。

理人の誘いに乗り、のこのこと着いてきた優花であったが、理人の家族だけではなくて、料亭の従業員からも冷たい視線を向けられて、居たたまれなくてずっと俯いていた。

優花にとっては、高級料亭の敷居は高くて分厚くて強固で、ぶち壊すのも憚られる場所で、ましてや、自分の犯した罪で、料亭にも影響が出ていたなんて知らなかった。

こんな所、来るんじゃなかったと今さら後悔するも、後の祭り。

理人はどんな反応をしているのだろうと、ちょっとだけ顔をあげてみると、苦渋の表情で家族と対峙している。

これも全て自分のせいだと、優花は3年半前の己の悪行のせいで料亭に迷惑を掛けたと、額を畳に擦り付けて謝った。

そして、理人との交際も辞退すると宣言した。

それに異議を唱えたのは、勿論理人一人だけで、他の家族からは、万一優花と付き合ったり結婚したりした時には、縁を切るとまで言われてしまった。

さあこれから、理人はどうするつもりなのか。

優花を選ぶのか、家を選ぶか、彼の一生を左右する決断を迫られているのだった。

うーん、答えを出すには、これは難しい問題だ。
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