お見合いだけど、恋することからはじめよう


「……先にシャワー浴びるか?」

スーツの上着を脱いだ赤木さんが、ネクタイをキュキュッと緩めながら、あたしに訊く。

……はぁ? なに言ってんの?

巨大なベッドの脇のカウチソファに座ったあたしは、軽蔑しきった顔で赤木さんを見上げた。

「冗談だ。そんな怖い顔するなって。
……『話ををするだけ』って約束は守るよ」

苦笑した赤木さんは、あたしの対面の一人掛けのソファに腰を下ろした。

入ったラブホの部屋は、あのときの「白雪姫」のようなメルヘンチックなタイプではなく、ブルーライトに照らされたスタイリッシュなタイプだった。

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