お見合いだけど、恋することからはじめよう

ところが。

なぜか、田中さんは目を細めて微笑んでいた。

先刻(さっき)までの、にやりとかニヤッとかいう皮肉めいた苦笑ではなかった。

両親たちが同席していたときは、あんなにクールっていうか、はっきり言って冷ややかな無機質な感じで、まるで血の通わない人造人間(サイボーグ)みたいだったのに。

今の彼は別人のように、その微笑みはどんどん大きくなり、くくくっ…と、肩まで揺らして笑っている。


……あ、ちゃんと笑うと目尻が下がるんだ。

< 54 / 530 >

この作品をシェア

pagetop