お見合いだけど、恋することからはじめよう

そんなあたしを見て、彼の目がほんの一瞬、見開かれた。

くくくっ…という笑い声が、ぴたり、と止んだ。

……きっ、気づかれた。

そして、また、ゆっくりとその顔に笑みが広がっていく。

あたしがどんなに「ワガママ」を言おうが、この人からは口惜しいくらい「余裕」しか感じられない。

……げっ、この人、学力だけじゃなく「恋愛」の偏差値も高そうだわ。

「わかったよ。だったら……」

すると、田中さんはこともなげに、さらり、と言った。

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