一円玉の恋
一円玉の縁
私はしがない大学生。
今日もせっせと働きます。
ピロピロピロピローン。とお客が入れば。

いらっしゃいませ。と、笑顔で声をかける。
接客業は笑顔が大事!

商品を棚に補充し、レジにお客が並べば、すかさず入りお会計。なるべくお客様は待たせません。時には調理。時には発注。

今日もせっせと頑張ります。

ピロピロピロピローン

いらっしゃいま…
げっ、また来たあの男!

私の苦手なあの男、出来れば対応したくない。

結局そういう訳にもいかず、男が並べばレジに入る。

「全部で998円です。」
と伝えれば、男がお金を出してくる。
それを受け取り、
「1000円お預かりしましたので、2円のお釣りですね。」
と渡そうとすれば、
「いらない。やる。」と男が言う。

はぁ!コイツまたか。

「そういう訳には…」と困った風に伝えても、

「いらない、募金箱にでも入れといてよ。」
と太々しい態度で言い放つ。

スタスタと去って行く男の背中に、じゃあ、自分で入れろや!と心で毒づく。
これが、この男との何時ものやり取り。

それでも、「ありがとうございまーす」と笑顔、笑顔。
苦手な奴でも、笑顔、笑顔。
毒づいても笑顔。笑顔。

もう、来んな。二度と来んな。
アンタが来なくても店は潰れない!
たぶん、きっと。と心で念じる。

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