一円玉の恋
後日
それから数ヶ月後、結婚式も無事終わったある休日の昼下がり、例のごとく前の夜から抱き潰されて重い体にムチ打ちながら、溜まった家事をこなしていると、
「お届けものでーす。」と業者さんが大きな家具を運んで来た。「!!」と予期せぬお届け物に驚く私に対して「来た!来た!」と嬉しそうな崇さん。

組み立て終わると…それは、キングサイズのベッドだった。

「やっぱり、大きくて心地いいのがいいでしょ。だから、買っちゃた。
このお金どうしようかなぁて思ってたんだよねー。」

と私が出て行く時に置いて行った通帳を見せてくる。

「翠が困ったら渡してって、杏子に預けて置いたんだけど、そのまま戻ってきたからね。どうせなら、翠と一緒に使うからと思って、これに足して購入しちゃった。ふっふ。」

と満足気だ。

「ということで、翠、さっそく使い心地を試そうね。」

と満面の笑みで迫ってくる。
結局、このエロおやじは…。

「崇さん!ちょっとは節約して下さい!これから子供だって出来るかもしれないし、色々お金かかるんですよ!そんなポンポン買わないで下さい!いくら自分が売れっ子だからって、それもいつまで続くか分かりませんからね!いつまでも続くと思うな、人気と金。ですよ。だからちゃんとして下さい!」

と怒ると、崇さんが嬉しそうに

「あっ、なんか奥さんだ。奥さんらしい。分かった。これからは気をつけるし、翠に相談するね。そうだよね、子供の事も考えないとね。」

とやけにしおらしく納得している。
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