課長、サインを下さい!~溺愛申請書の受理をお願いします。
 エレベーターを降りて廊下の一番端まで行くと、課長は玄関扉のスイッチを押して開錠する。

 「最近のマンションはハイテクですね。」

 私が思ったままのことを言うと

 「だな。」

 と言って彼は私を中に入るよう促した。

 「お邪魔します。」

 脱いだ靴を揃えて案内されるまま奥に進んだ。
 突き当りの扉を開けた瞬間、目の前には一面に煌めく夜景が広がっていた。

 宝石箱をひっくり返したみたい…

 息を呑んでその光景に見入っていると

 「メシ、まだだろ。」

 「え?」

 「簡単なものでもいいか?」

 「はい。」

 「じゃあ、これ飲んで待ってな。」

 課長は私の前に缶ビールを置いて、キッチンに入って行った。
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