脱出可能枠は一つだけ
物音がした

それは、あたし達が歩いている廊下に面している、教室から聞こえた気がする

「なに・・・・・・っ」

聖歌が恐怖に身をこわばらせ、あたしの服の袖をぎゅっと握った

そんな聖歌を守るように、あたしは聖歌の前に立つ

何者・・・・・・っ?

「いってー」

「お前アホか。鬼に見つかったらどーすんだよ」

「わりぃ。そん時はお前を盾にしておれがにげる!」

「は?ざけんなよ?」

「じょーだんだって」

この声・・・・・・もしかして!

「棗?!智也?!」

「は?」

「ん?」

1個先の教室の中をのぞくと、そこには見慣れたクラスメイトの姿があった

どうやら、智也が机に足をぶつけたみたい

「お?小野と羽田姉妹か!」

「お前ら、無事だったんだな!」

「いやぁ、お陰様で慎ましく生きておりマース」

「お?ノリいいな羽田姉!」

「ちょっと?それなら私は羽田妹になるってこと?」

「あ、そーなるな」

「はあ?っていうか取り消して!あたしの名前結月!」

「こっちこそお断り。美月よ」

「わ、私聖歌なんだけど・・・・・・」

窓越しの会話がヒートアップして、遂にあたしは扉を開いた

直接対決♪

「んなこといってもよぉ、俺女子のこと名字で呼ぶタイプなんだけど」

「おれもおれも!」

「幼なじみってこうも似るもんなの?」

「そうなのかな?」

「それはないと思うわ」

「えーっ、でも現実にてるじゃん」

「それはこの二人が特殊だからよ」

「お?羽田妹、俺らが特殊だと?」

「飽くまでも真実を言っただけだけれど?」

「あー、美月に同意ー」

「はあ?おい、羽田姉!」

「いい加減に名前で呼んだら?」

「ゆ、結月ちゃん落ち着いて!」

「この中で聖歌が一番冷静ね・・・・・・」

普段、この男子ふたりと口喧嘩したことなかったけど、意外とノリがいいね!
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