Home * Love 〜始まりは、キス〜





ガチャッ
ドアを開け…



玄関でパンプスを履き捨て、洗面所に直行。

蛇口を思いきり捻り、冷たい水で顔を洗った。



唇に残る…あのリアルな感触。


キスする寸前の
梅田さんのアップな顔とか、

頭の中が真っ白だったのが…どんどん鮮明になってくる。


あの時、梅田さんは…
階段で私向かい合わせに
しゃがみこんでいて。


俯いていた私にこう言った。

『君、ヒドイね。
人の大事な物を壊しといて、謝ったぐらいじゃ許されないよ?
彼女のメッセージが録音されている世界でたった1つのメモリーカードなんですけど。』



私の顔を覗き込みながら。


それから、どんどん顔が近づいてきて…
梅田さんは左手で階段の柵を掴む。

だから、私は梅田さんと階段の柵と板挟み。




それから、それから―――

あまりにも、顔が近かったから…

『すみません…離れて下さい』

って言おうとしたら、
キスされた━━━━…



どうして急にキスした?

しかも、
彼女いるんだよね?

やっぱり最低な男だ…




私と梅田さんの始まりは、この最悪キスからだった━━━…


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