Home * Love 〜始まりは、キス〜



ピチピチピチ…………

雀の鳴き声が聞こえ始めた、早朝。


玄関の方から聞こえてきた
足を引きずっているような、重い足音。

その足音は、私の部屋を通りすぎた━━━…



梅田さん、帰ってきたんだ…



バタン…………

ドアが閉まる音が響き、

そこから梅田さんの足取りは
パタンと消えた。



******************************



 くまさんに会えなくて
 悲しんでいるお姫さま。
そんなお姫様に
お月さまは言った。


『あなたの願いを1つだけ、聞いて差し上げましょう。

もしかしたら、叶うかもしれませんよ?

あなたの
本当に叶えたい願い事は何ですか?』



『くまさんに会いたいよ…』

お姫様は言った。




『分かりました…、
叶うといいですね。

良いことを教えましょう。

その方と願い事が一緒でしたら、
その夢を叶える事が出来るのです…』

お月さまは悲しそう表情を浮かべた。




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多実ちゃんの手元で開かれていた
絵本にはこんな事が書いてあった。



それから暫くして━━━━…


ゴン…………

低い物音が私の背中に伝わる。


━━━━━梅田さん?


いるの?


また、溢れ落ちる涙。


梅田さをを想うと
涙が出てくるよ…




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