無感情なイケメン社員を熱血系に変える方法
愛情
「また、おいで。待ってるよ」
田村夫妻と楽しい時間を過ごした駿太郎と彩月は、田村宅から10分のところにある駿太郎の実家近くの公園に来ていた。
「いい先生だね。奥さんも優しい」
「ああ、先生のお陰で高校と大学、卒業できた」
滑り台で遊ぶ親子連れを見ながら、二人はベンチに座っていた。
彩月の手には、高校の頃に駿太郎が描いた絵のスケッチブックが握られている。田村が『欲しいなら持っていきなさい』と彩月に持たせてくれたのだ。
「そんなもの面白くもないでしょ」
駿太郎の問いに
「高校生の駿太郎に会えた気がするから」
と彩月が答えた。
彩月が今見ているのは、駿太郎の高校に住み着いていたカラスのデッサン。
窓際でいつも外を眺めていた駿太郎は、ある日、隣の校舎の屋上にとまっているカラスと目があった。足を怪我しているようでいつも片足で立っている。
山を追われ、都会に生きるカラス。自由に見えてもそうじゃない。こいつは限られた範囲で自由を満喫しているのか,,,。
決して人間とは心を通わすことはないのに、その傍らでつかず離れず暮らす。
"まるで俺と家族、周囲の人間との関係のようだ"
「駿太郎はこの子(カラス)に親近感を感じてたんだね。憧憬の念を感じるよ」
駿太郎は驚いて彩月を見た。
「そうだな。自由の裏にある寂しさに共感してたかも」
彩月は、それを聞いてにっこり笑う。
「今なら違う絵がかけるね」
「ああ、そうだね」
田村夫妻と楽しい時間を過ごした駿太郎と彩月は、田村宅から10分のところにある駿太郎の実家近くの公園に来ていた。
「いい先生だね。奥さんも優しい」
「ああ、先生のお陰で高校と大学、卒業できた」
滑り台で遊ぶ親子連れを見ながら、二人はベンチに座っていた。
彩月の手には、高校の頃に駿太郎が描いた絵のスケッチブックが握られている。田村が『欲しいなら持っていきなさい』と彩月に持たせてくれたのだ。
「そんなもの面白くもないでしょ」
駿太郎の問いに
「高校生の駿太郎に会えた気がするから」
と彩月が答えた。
彩月が今見ているのは、駿太郎の高校に住み着いていたカラスのデッサン。
窓際でいつも外を眺めていた駿太郎は、ある日、隣の校舎の屋上にとまっているカラスと目があった。足を怪我しているようでいつも片足で立っている。
山を追われ、都会に生きるカラス。自由に見えてもそうじゃない。こいつは限られた範囲で自由を満喫しているのか,,,。
決して人間とは心を通わすことはないのに、その傍らでつかず離れず暮らす。
"まるで俺と家族、周囲の人間との関係のようだ"
「駿太郎はこの子(カラス)に親近感を感じてたんだね。憧憬の念を感じるよ」
駿太郎は驚いて彩月を見た。
「そうだな。自由の裏にある寂しさに共感してたかも」
彩月は、それを聞いてにっこり笑う。
「今なら違う絵がかけるね」
「ああ、そうだね」