無感情なイケメン社員を熱血系に変える方法
「二人のためにリフォームしたんだよ」

尚登の言うように、家の中は彩月の知る祖父母の家とは何もかもが異なっていた。

「インテリアはすべて処分した。寝室のベッドだけは、初日眠ることができないとさすがに困ると思って入れておいたよ。後は彩月と駿太郎君で好きな家具を購入して配置してくれていい」

ガランとしたリビング、メイン寝室に書斎、6畳ほどの個室が二部屋。バスルームとレストルーム。

尚登の言うようにベッド以外は何もない。

あとは彩月と駿太郎が日本から送った荷物のダンボールが幾つか転がっているだけだ。

「もしかして、駿太郎のため?」

こちらで駿太郎はウィングラインインテリアに勤める。

尚登は肩をすくめて

「まさか、前の住人の気配がある家は嫌だろうと思っただけだ。私もメアリーもエンディングノートに、この家を身内に譲りたいと書いていたからね。夢がかなって嬉しいよ」

尚登は彩月を抱き締めて言った。

「それじゃあ、私はもうメアリーのところに行くよ。ゆっくり片付けをするといい。賢、送ってくれるか?」

『もちろんだ』

玄関まで見送る。尚登は彩月と駿太郎のために一台のコンパクトカーを準備してくれていたと説明した。西海岸では車がないとどこにもいけない。

「今週末におじいちゃんとおばあちゃんに会いに行くわ。一緒に食事しようよ」

「そうだな」

そういうと尚登は、賢の車に乗って行ってしまった。
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