朧咲夜1-偽モノ婚約者は先生-【完】


「明日の昼休みは出てくること出来るか?」


「大丈夫ですよ。話つけにいきますか?」


「お前が言うと時々物騒だな」


「たぶん父さんの影響かと」


「そうなのか」
 

華取は真面目な顔で肯いた。


そして、在義さんの名が出ると俺も素直に肯いてしまう。


「少し詳細を調整したい。昼休み、旧館の歴史科の資料室に来てくれないか?」


「旧館? に、先生いるんですか?」


「一人で作業するときに使わせてもらっている。今は誰も使っていないから都合がいいんだ」


「わかりました。それ以外に気を付けることとかありますか?」


「学校では今までと変わらない態度でいてくれるとありがたい。急変するとどこから疑われるかもしれないから」


「了解です。では、おやすみなさい」


「ああ。……遅くまですまなかった。しっかり寝ろよ」


「はい」
 

そう言って華取が見せたのは、華がほころんだような幼い笑顔だった。


普段が大人っぽいから、余計愛らしく見える。


……愛らしい? なにがだ?

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