一途な御曹司に愛されすぎてます
 生まれたままの姿にされて、バスルームに強引に引きずり込まれ、壁際に押しつけられる。

 ふたりの頭上から流れ落ちる熱い水流が、ためらいと、ぎこちなさを滑り落としていく。


 ボディソープを絡めた大きな手に、余す所なく体をなぞられ、お湯の匂いの充満した小部屋に私の声が響いた。

 意地悪で優しい指の動きから掘り起こされる感覚を逃がそうと口を開けば、するりと彼の舌が入り込む。


 息苦しく絡み合う吐息。抱えあげられる足。

 じわじわと中心に溜まる熱に翻弄され、流れる雫と無骨な指先によって刺激される皮膚はどこまでも過敏で、心も体も破裂してしまいそう。


 湯煙と激しい動きに汗ばむ体を、猛った獣に揺らされて、両腕で彼にしがみつかなければ立っていられない。


「淳美、好きだ。好きだ、好きだ、好きだ」


 昂って上ずる彼の荒い声に、私の甘い鳴き声が重なり合う。


「私も好き。あなたが好きです」


 本当の想いを口にできる幸福感に身も心も震える。

 広くて逞しい背中に爪を立てながら、ほとばしる激情と彼自身の熱さに、私は翻弄され続けていた――……。




< 205 / 238 >

この作品をシェア

pagetop