イジワル御曹司ととろ甘同居はじめます

「亜由美さん」

男性が母の名を呼び私たちの方へと歩いてくる。

徐々に近づいてくる男性はロマンスグレーにシャープなメガネをかけ、ダンディーという言葉がよく似合う方だった。でもこの顔どこかで見たことがある。はて…どこで？

「お忙しい時およびだてして申し訳なかったね」

「とんでもないわ。あっ、紹介するわ。娘のみずほです」

「は、はじめまして。母がお世話になっております」

勢いよく頭を下げる。

「いやいや、お世話になっているのは僕の方で…あっ失礼。お母さんとお付き合いしています。七瀬です」

七瀬…ん？七瀬？…え？！

聞き覚えのある、いや聞き覚えなんてものではなく、仕事中外線がかかってくるたびにこの名前を呼んでいる。

「そう、七瀬さんはみずほの会社の社長さんよ」

何が社長さんよなのよ。

ちょ、ちょっと落ち着けみずほ。これは夢よね。この真上のシャンデリアも眩しいぐらいの高級感漂うロビーも全部夢の中のことよね？

そう思わずにはいられないほど驚いてた。