イジワル御曹司ととろ甘同居はじめます
昼間、話題になってしまった手前、視線も気になり私は無言で会社を出る。

「じゃあ私はここで」

「は?何で?もう公表したんだしコソコソする必要のないんだから車で帰るぞ」

「でも・・・」

なんとも切り替えの早い人だ。

「何が『でも』なんだよ。ここでぐだぐだ言い合いしてると逆に目立つぞ」

「タイムセール」

「は?」

「今日、タイムセールでお肉が安いんです。なので・・・」

すると建一さんがガシッと私の手を握った。

「だったら尚更、車でダッシュだ」

私は引っ張られるように駐車場まで歩き、その後車で近所のスーパーへ行った。

一緒に暮らし始めた頃、価値観の違いにびっくりし、ここでの生活は自分には合わないとまで思っていたけど

ちょっと前の事なのに随分前の話のように思える。

それだけ私たちの2ヶ月は中身の濃い物だったのかなと思う。

「どうした?」

「ううん。なんでもない」

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