イジワル御曹司ととろ甘同居はじめます
唇が離れると建一さんの手が私の髪の毛をゆっくりと撫でる。

こういう時間好きだな。

何時間でもこうしていたい・・・幸せを実感しうっとりして目を瞑ると

「イタッ」

いきなりおでこに痛みが走る。

目を開けると怒っているというよりは拗ねている様な目の建一さん。

「まさかこんなキスで満足してるんじゃないだろうな?」

「え?」

図星です。なんて言ったら怒られそうな雰囲気だ。

「俺だって大人の男だぞ。キス以上の事だって・・・」

言葉を最後まで言わずともそれが何を意味するのかはわかる。でもなんて返事をしたらいいのかわからない。

身体もその言葉をを拒むかの様に全身に思い切り力が入ってしまう。

すると建一さんが身体を起こし私の頭をポンポンと優しく叩いた。

「ごめん。こんな言い方してみずほを困らせたいわけじゃないんだ。焦ってないし、俺たちは俺たちのペースでいいから・・・先に風呂入って今日は寝るな」

「・・・・・・」

私は建一さんがバスルームへ向か姿を目で追うことしか出来なかった。

姿が見えなくなると溜息が出てしまった。

あんな寂しそうな顔をさせたかったわけではないし、付合うと言うことがどういうことなの恋愛ビギナーの私でもわかる。

でもやっぱり勇気ってものがいるわけで・・・前の様に偶然胸を見られたっていうのとはわけが違う。

自分に自信がない私は建一さんが好きだという気持ちも大きいけれど、それ以上に不安の方が大きい。

だけど・・・建一さんのあんな顔をさせたくない気持ちもあって・・・

あ~どうすりゃいいの?

< 190 / 225 >

この作品をシェア

pagetop