イジワル御曹司ととろ甘同居はじめます
店を出て再び車に乗ったのだが、また何か言われるのが嫌で自ら助手席に座った。

車に乗ってしばらくすると部長が話しかけてきた。

「昨日は悪かった」

「昨日?…あっ!」

そうだすっかり忘れていた。昨日全裸を見られたんだった。

「それと朝ご飯。ありがとう。親父は知らない人を家に上げるのを嫌ってたから父子家庭になっても家政婦を雇ったりしなかったもんだから朝ご飯を食べる習慣が少なくなって…やっぱり朝はきちんと食べた方が仕事もはかどるなって思った」

言い方は会社で見せる優しい声ではなかったもののさっきほど冷たくはなかった。

最初はご飯は作らなくてもいいって言ってたのに・・・

よくわからない人だ。

でも・・・この調子だと時間はかかるけど家族として見てくれる日が来るのかもしれないと淡い期待をしてしまった。

でもこれだけはいっておかないと。

「時間があるときだけですが作れるときは朝作ります。ですがこれだけは守ってください」

「なに?」

「お風呂に入るときはお互いに声を掛け合いましょう」

「・・・ああ。そうだな」

「そ、そうでよ」

と何気に部長の顔を見ると部長の顔が赤くなっていた。

ちょっと待ってよ。昨日は無表情だったのに今頃顔を赤くしないでよ。

恥ずかしかったのは私なのに!

それから私と部長は家に着くまで一言も話す事はなかった。

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