ファインダー越しの君へ
「塁?」


「先輩・・・」





「好きです」





思わずもれてしまった心の声に、塁は両手で口をふさいだ。

圭も驚いた顔をしている。


「な、何でもありません」


振り返って化学室を出てこうとする塁の腕を圭がひっぱる。


「ごめんなさい」


塁は観念した。言おう。言ってしまおう。

圭の腕を振り払い、正面に向き直った。


「ずっと好きでした。それだけ言いたかったんです」


再び去ろうとする塁を圭はあわててひきとめた。


「待てって、何で逃げるんだよ」
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