【短】残月、残滓、残照、残恋。そして、残愛…。
カメラマンとしてのソウを、私は何時から異性として想うようになったんだろうか…。



直球勝負で、ビジネストークを繰り広げるソウに、初めは嫌悪感を抱いていたはずなのに…。


だって…。

好きだ、愛してるだ…と、カメラを通して言われても、ちっともそんな気持ちは信用ならないじゃないか。



はぁ…。



私はもう一度大きくため息を吐いてから、ソウの名前で埋め尽くされたメールアプリをタップして、その内容を確認することにした。



そこには、バカみたいに甘い言葉が散りばめられていた。



『逢いたい』

『彩雪、好きだよ』

『どこにいる?』

『愛してるよ』



じわり、と気付けばまた涙が出ていた。

どうして、私なの?

あの時、沢山の中からなんで私を選んだの?

尋ねたいことは山積みすぎて…その想いを全て掻き集めてから私はソウへと、コールした。



「もしもし…」


「やっと、繋がった。…彩雪、今どこ?」


「…家」


「じゃあ、今すぐ行く」


「…なんでよ?」


「逢って、ちゃんと話がしたい」



今まで聞いたことのない、真剣な声に思わず息を飲んだ。

でも、素直になれない私はあくまで冷静な声で言葉を繋げようとする。



「私には、話すことなんか…」


「ほんとに、ない?」



ソウの切羽詰まったような声が私の耳を支配する。

そこで揺らぐ私の心。



「だって…」


「とにかく。そこ動くなよ?頼むから逃げないで。今すぐ行くから…」



有無を言わせない口調。

今までこんなにソウの低い声を聞いたことがあるだろうか…。

その口ぶりに、押し黙るとふぅ…と溜息を吐かれた。



「けんかしたいわけじゃないんだ。彩雪の顔が見たい。OK?」


「ん…」



最後はなんとなく丸め込まれるようにして、会話を断ち切られた。
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