あなたへ
「おはよう…」
複雑な気分のまま下へ降りると、お母さんとお父さんがリビングでテレビを見ていた。
「あんた、何時まで寝てるつもりだったの?起こしても起きないし」
「気づいたらこんな時間だった」
「久しぶりにパパがお休みだから何処か連れてって貰おうと思ってもこんな天気だしね…」
私が適当に朝ごはん兼お昼ご飯に食べるものを探しながらお母さんと会話する。
「瑠梨〜!パパずっと会いたかったぞ〜!!」
突然キッチンに入ってきたかと思うとお父さんが私に抱きつく。
気持ち悪い
「うわっ…抱き着かないでよ気持ち悪い!!」
こっちは高校2年生だぞ…。
「えぇ…昔は抱き着いたら喜んでたのに…」
いや、いつの話…
「昔のことでしょ!?もう…」
お父さんの腕を振り払い冷凍のチャーハンを温める。
「冷凍でいいのか?なんならパパがなんか作っても…」
「大丈夫です」
お父さんの話を遮るように言葉を放つ。
「ひどいっ!」
はぁ…。なんでお父さんはこんなに娘に甘いんだ…?
小さい頃からお父さんに怒られた事は1度もない。
そう、何をしても。
「パパは瑠梨が大好きなのよ」
お母さんが私たちの絡みを横目で見ながら会話に混ざる。
「そうだぞ!パパはいつだって瑠梨が大好きで大好きで…!」
「気持ち悪っ…」
「ひどいっっ!」
私はお父さんを半ば無視して温め終わったチャーハンを手にテーブルにつく。
「あれ、そういえば今日お店は?」
「今日は定休日よ」
「そうだっけ?」
「そうよ?忘れちゃったの?」
毎週日曜日はお休みだったっけ…。
だから2人ともリビングにいるわけか。
「そっかぁ…」
私はそう返事をすると黙々とご飯を食べ始めた。