カクテル紅茶館の事件簿録

それはきっと、私が今日見てきたもののせいだろう。

そんなことを考えていると不意に冷たい風が強く肌を撫でた。

小刻みに震える体を温めるように肩をすぼめて、私はヌイのいるカクテル喫茶店までの道を早足で進んだ。

「外は寒かったでしょ」

ドアを重厚なドアを開けると暖かい空気とともにヌイの声が聞こえてきた。

「うん。とても。で?ヌイは一体何をしてるの?」

「ちょっとね」

そう言うとヌイはまたゴゾゴゾと秘密の部屋を漁り出す。

本当ならすぐにでもヌイのお茶で温まりたいところだが未だに代金を支払っていない身ではそこまで図々しいことも言えない。

仕方がないからヌイの作業が落ち着くまでを、暖炉の火を見つめながら待つことにした。
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