ラヒの預言書

「私は、神官の見習い試験を受けに来ました。貴方と言い争いたくありません。早く受理して下さい。」


「ガロンのくせに生意気な!躾が必要だな!私はデルガだぞ!!いくらだ?お前を買ってやる!!」


バンッ!!


机を叩く大きな衝撃音が響き渡り、広場は一瞬にして鎮まり返った。


「ロドゥーラ王国憲法第256、神官試験の資格条件について...一、満16歳を迎えた者、一、ソルダンにて10年以上の学習を終了した者、一、ソルダンの師による推薦を受けた者、一、出身国がやロドゥーラである者、一、身分がガロン以上である者、一、罪歴がない者、私はこの全てにおいて、条件を満たしている!!」


呆気に取られ何も言葉が出ない兵士。


「それからもう一つ、人は物ではない。考えを改めてください。」


(なんとゆう光景だ…これがガロン?こんな奴見たことがない…)


「……良いではないか。其奴の言う事は筋が通っている。憲法で決まっている事すなわち、王命と同義…だろう?」


「ガドラン様……しかしっー」


「なんだお前、王に仕える身で王に逆らうのか?」


「くぅっ…」


兵士は悔しそうに札を掴むと投げつける様に渡した。


「ありがとうございます」


(こんな目にあっても堂々としている…この少年、面白い.......)


ガドランは出家に辟易していたのをすっかり忘れて、城内に入っていくその少年の後ろ姿を見送った。


「リロ、我らもさっさと行くぞ!」


「はっはい!」


久し振りに目を輝かせている主を尻目にリロは面倒な予感がして仕方なかった。



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