朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】


「笑満ちゃんの家族はさ、普通の家だよ。事件なんて日常じゃない人たち」


「……それを理由に咲桜に好意を持つのか?」


「ねーよ。んな自殺好意。でもさー。……俺だと、笑満ちゃんの友達です、とすら名乗れねーんだよ」
 

……それで落ち込んでいるというわけか。
 

遙音の家族は殺されている。怨恨による殺人事件だった。


松生の家はその当時の近所づきあいのある家。


事件後、世間は犯人に同情的になり、幼い遙音へのバッシングすらあった。


遙音は松生を、『最後まで優しかった唯一の子』、と言っていた。
 

遙音自身、松生の家族を恨んでいるような節はない。


が、遙音の過去を顧みれば、松生の家族は遙音への対応に困るだろう。


もしもの話だが、松生と友達として親しくすることを反対される可能性だってある。


「……松生を失いたくないか」

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