朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】


「っ? 頼……?」
 

家族写真? 


咲桜が名を呼ぶと、日義はいつもの気だるげな様子だった。


「だから、家族写真。卒業式ならいいだろ? なので先生、咲桜の卒業式にそのカッコいい素顔で来てくださいよ。眼鏡かけてたらぶんどって川に捨てるから」
 

また、と言って頼は教室を出て行った。


騒がしい奴が消えて、資料室は一気に静かになった。


「………」


「……なあ、日義となにあったんだ? お前ら」


「自分で考えろ。俺らの側にいるんならな」
 

外していたメガネを戻した。


「遙音。日義にお前もつけ狙わないようにさせるから、今日はもう戻ってくれないか?」


「んなこと言って――、……わかった。あとで詳しい説明しろよ」
 

咲桜の肩が震える様子を見て、遙音は俺に言い置いてから教室を出た。


「咲桜」
 

二人しかいない部屋で、震える細い肩を抱き寄せた。


「ありがとう。護ってくれて」

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